お米が美味しい米どころは、日本酒も美味しいと言われてきました。
新潟や秋田など、食べても飲んでも美味しいお米が取れる日本のお米の一大生産地です。
それが近年、気候の変化によって北の北海道でも美味しいお米が取れるようになってきました。
昨今北海道の食用米なども本州や海外に流通しているようですが、日本酒の命たる酒米にも新しいものが出てきました。
それが「きたしずく」です。
今回は北海道三番目の酒造好適米で、徐々に作付け面積も増えている「きたしずく」の特徴をご紹介します。
北海道の酒米
北海道には「彗星」と「吟風」という酒米があり、北海道三番目の酒米となるのが「きたしずく」です。
簡単に言うなら、彗星はすっきりとした飲み口に、吟風は味わい深い酒米として一般的には認知されています。
酒米の名前を前面に押し出して日本酒を作る酒蔵は北海道にはあまりありませんでしたが、数年前に道内の金滴酒造が彗星を使った大吟醸で金賞を取ったことで、彗星や吟風の名前を前に出した日本酒が増えてきたように思えます。
きたしずくは日本酒ブームの後押しというのもあり、大きく「きたしずく」と書いた日本酒ラベルも彗星・吟風に比べて多くなってきています。
きたしずくの特徴
きたしずくのお米の特徴ですが、彗星よりも味わい深く、吟風よりも軽やかな調子で、二つの中間くらいに位置しているのがきたしずくです。
言ってみれば、彗星と吟風の良いとこ取りのようなイメージです。
雄町の系統も持っているので、味濃くを出すような造り方だとお米の味わいが吟風とは違った形で出てくるのも面白いです。
また北海道の酒蔵以上に、一早く着目していた本州の酒蔵もあり、北海道の味わいとはまるで違う風味の日本酒も多く造られています。
きたしずくを使用した日本酒銘柄
実は北海道の日本酒では、きたしずくのお酒はまだ多くないのが現状です。
とりわけ北海道外の酒蔵の銘柄の方が、例年のラインナップに採用されているものが多々あります。その一部をご紹介します。
鍋島純米大吟醸きたしずく(佐賀県)
有名銘柄の一つである鍋島の、きたしずくを40%まで削った純米大吟醸。
新しい酒米をいきなり高級酒に使った実験作です。
きたしずくの高精米商品は珍しく、有名銘柄が扱えば一気に知名度が上がります。
九州の酒蔵が北海道のお米を使っているというのも面白いですね。
姿 きたしずく純米大吟醸無濾過生原酒(栃木県)
早くから北海道のお米を多く使用している日本酒「姿」。
季節品に多く北海道の酒米を使用していますが、きたしずくは鍋島同様、高級酒として造られています。
きたしずくのラインナップでは、他に生原酒の純米吟醸もあり、爽やかな香りのあるきたしずくの吟醸酒としては他とは一歩進んだ味わいです。
上川大雪酒造(北海道)
「上川大雪酒造」は全国でも話題の日本で最も新しい酒蔵です。
金滴酒造で日本酒を造っていた杜氏さんが、新たに旗頭となって立ち上げた酒蔵で、上記に挙げた彗星で金賞を取ったという杜氏さんが造っています。
2017年現在では極少量が試験醸造という形で北海道の特約店と、東京の一部レストランで試験的に販売・提供されました。
使用する酒米は北海道の選りすぐりのお米を使い、全量北海道米で仕込むという徹底ぶりです。
その中の一つとして、きたしずくを使ったお酒がありました。
今後の北海道の日本酒の一番の注目株です。
北海道で作られる新しい酒米「きたしずく」の今後の広がりに注目
きたしずくはまだまだ練られていない酒米です。
産地の北海道でも、本州の酒蔵でも本当の味わいというよりも、お米の目新しさや、その銘柄のブランド力に依存しているように思えます。
実際の一例として、日本酒の銘柄や味わいに対して、ほとんど知らないきたしずくの生産者さん達が、自分たちの造ったきたしずくの日本酒を集めて飲み比べたことがあったそうです。
その時に一番美味しいと感じたお酒は、有名銘柄である鍋島の純米大吟醸のきたしずくではなかったそうです。
日本酒を知れば知るほど、知名度や主観的な評価に左右され、客観的な判断が出来なくなることが多々あります。
まだまだ新しい酒米が、これまで産地以外で使われていることも珍しいです。
ですが新しい故に評価が曖昧なところがあり、造りもお米に合っているかどうかは定かではありません。
本当に自信を持って美味しいきたしずくの日本酒と言えるものが出てくるのはまだまだ先の事だと思います。
それでも注目されている酒米なので、見かけた場合は是非試して見て下さい。
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