創業が1688年という長い歴史のある秋田県の福禄寿(ふくろくじゅ)酒造。
純米にこだわるこの酒蔵でちょっとユニークな名前の日本酒があります。
それが今回ご紹介する「一白水成 サンデーバックナイン」です。
超限定銘柄ということですが、どんな日本酒なのかお伝えしたいと思います。
福禄寿酒造について
福禄寿酒造は1688年創業。
土蔵づくりの建物は歴史が長いため、全国登録有形文化財に指定されています。
酒造りは、一、『麹』二、『酛』三、『造り』という基本を忠実に守り、きちんと目の行き届いた管理を行っています。
仕込み水は『お不動尊』から敷地内に湧き出ている地下水を使用し、初代が酒造りを始めてから今日に至るまで酒を醸す際に欠かせないものとなっています。
福禄寿という名前の由来は、『福』は多くの子や孫に恵まれるよう、『禄』は子々孫々まで栄えるよう、『寿』は元気で長生きするようにと願いをこめて付けられたそうです。
なんておめでたいのでしょう!
祝いの席にぴったりですね。
現在、酒米づくりから酒造りまでを地元の五城目ですべて行えるよう奮闘しているのが16代目の渡邉康衛氏。
東京農業大学・醸造学科を卒業後、秋田に戻り家業を継ぎました。
歴史と伝統を守りつつ、現代にあったお酒を追求する姿勢は『日本酒を愉しく作り、飲む人にも愉しんでほしい』という真面目な気持ちがきちんと感じられます。
【酒蔵情報】
福禄寿(ふくろくじゅ)酒造株式会社
秋田県南秋田郡五城目町字下夕町48番地
純米酒にこだわる一白水成シリーズ
『白い米と水から成る一番旨い酒』というネーミングから分かるように、酒米に絶対の自信が感じ取れます。
地元のために農業法人を立ち上げたり、酒米研究会で活動するなど、彼の人生そのものが酒造りに捧げられています。
その中でも酒米はとてもこだわられています。
酒米は国内産にこだわり、吟の精とあきた酒こまちを使用しています。
この吟の精という酒米はあまり知らない方も多いかと思いますので、少しご説明しましょう。
もともと秋田県の酒米として県が推奨していたのは「美山錦」という品種です。
しかし、美山錦は純米酒向きの酒米で、吟醸酒に十分適しているとは言えないものでした。
そこで秋田県では吟醸酒に向く味で、なおかつ栽培方法と生産性のいい酒米を作ろうと育成を始めました。
普通のお米に比べ、酒米は一般的に稲穂が長く雨風の影響を受けやすいので、生育が難しく、酒米づくりについて農家はあまり前向きに捉えません。
ましてや吟醸酒を作るとなると、米をかなり磨きますのでたくさん収穫する必要があります。
そんなデメリットがある酒米ですが、この「吟の精」は稲穂自体が他の品種に比べ背があまり高くなく、米の粒自体もやや大きめ。
さらに、耐冷性こそ他の品種に比べると弱いのですが、稲穂の出る時期や成熟期は美山錦より早く、いわゆる早生(わせ)という種類に属しているので寒くなる前に収穫することが出来ます。
あまり全国的には有名ではありませんが、雪深い県南地域で重宝され高度精白用酒米品種として他に代替が効かない優れた酒米です。
一白水成シリーズについて
蔵の主力商品である一白水成シリーズは、純米吟醸の通称「いっぱく青ラベル」と、特別純米の通称「いっぱく白ラベル」が代表的で、通年で手に入ります。
一白水成 純米吟醸 青ラベル
一白水成 特別純米 白ラベル
一白水成 サンデーバックナイン
今回ご紹介する「一白水成 サンデーバックナイン」も一白水成シリーズの一つですが、この銘柄の名前、そもそも「サンデーバックナイン」って何?と調べてみたところ、どうやらゴルフ用語らしいです。
ご存知でしたか?
私はゴルフをやらないので詳しくないのですが、「サンデーバックナイン」とは日曜日の最後の9ホール目を意味しており『最終決戦』という意味だそうです。
渾身の一本、コレでどうだ!という作品なんですね。
ラベルがグリーンなのはそのゴルフにかけているのでしょうか?
そこは謎ですが、いつか聞いてみたいですね。
サンデーバックナインの味わい
澄んだ旨みと骨太な味の中にもふくみをもたせ、濃厚な味わいとエレガントさも感じる男性的で女性的、ある意味中性的なバランスのいいお酒です。
日本酒独特の香りは控えめですが、バナナのような甘く華やかな果実香が日本酒の酵母の存在を感じさせてくれます。
ツンとくるような日本酒臭さは無く、淡麗なキリッとした味わい。
酸度は1.4で日本酒度は+2。アルコール度数は16度とやや高めですが一般的な飲みやすい日本酒の値です。
精米歩合は50%と磨きすぎることなく醸された酒は米本来のうまみと、醗酵過程で生まれる酸味もバランスよく、飽きのこない味と香りがいいです。
初心者の方や女性にも飲みやすいので、ホームパーティーの手土産やプレゼントにもおすすめです。
この手の日本酒は燗にしてしまうと香りが強く立ち過ぎてしまい、お料理の邪魔をしてしまう事があるので、キリリと冷やしておくといいですね。
一白水成 サンデーバックナインを料理と一緒に楽しむ
サンデーバックナインは食中酒としてサッパリからコッテリ系まで和洋どんなお料理にも合わせやすい一本です。
和食であれば淡麗な味に対抗して甘みがあるハチミツや砂糖を少量使ったお料理、例えば豚の角煮やブリの照り焼きとのマリアージュも楽しめます。
また、お刺身では赤身のマグロや旨みの強い貝類がおすすめです。
お醤油の香りもいいアクセントになるでしょう。
ただし、お刺身の中でも淡白な白身だとお酒の風味に少し負けてしまいますので、やはり赤身や貝類をおすすめします。
和食だけに限らず、洋食にも合います。
少し酸味のあるマヨネーズやサワークリーム、フレンチドレッシングなどの調味料を使った料理がおすすめです。
いいお酒をより楽しむには酒器にもこだわりを
このお酒は限定酒でなかなか手に入らない貴重品なので、お料理だけではなく、飲む酒器にもこだわって楽しんでいただきたいです。
温度上昇がゆるやかな脚付きのシャンパングラスやワイングラスがご家庭にあればそちらをおすすめします。
さいごに
いかがでしょうか?
「一白水成 サンデーバックナイン」は限定酒で置いてあるお店もなかなかありません。
見かけたらラッキーなので、一白水成の勝負の一本をぜひ飲んでみてください。
おまけ 一白水成 青ラベル 袋吊し
もしも店頭になくても、青ラベルor白ラベルは是非試してみてください。
その中でも、青ラベルにいたっては新酒の時期に袋吊りでしぼられたお酒が販売されます。
袋吊りでしぼられたお酒は圧力をかけず、自然にしずくとなってじっくりと集められるため、より自然で純粋な味わいとなります。
袋吊しのお酒もめずらしいので、そちらもぜひ味わってみてください。
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