日本酒が好きな人なら”オマチスト”なんて言葉を聞いたことはないでしょうか?
岡山県で主に生産される酒造好適米「備前雄町」を使った日本酒が好きな人を“オマチスト”と呼ぶのですが、一時期この言葉が流行るぐらい雄町好きな日本酒飲みが増えました。
雄町は酒米の中でも山田錦・五百万石に並ぶほど有名で、日本酒好きを魅了する深い味わいがとても人気のある酒米です。
今回はこの備前雄町を使った日本酒をご紹介します。
酒米の違いから見る日本酒!酒造の個性を引き出す岡山の酒米「雄町」
酒造好適米の「備前雄町」(通称”雄町”)は、酒米の王様「山田錦」と人気を二分する日本酒の酒米の二大巨頭の一角です。
主な生産地は岡山県で、その中でも特に岡山県赤磐地区で作られる雄町がブランド酒米として有名です。
赤磐地区の雄町を使って造られた日本酒は、「赤磐雄町」としてわざわざラベル表記して販売するものもあるぐらい価値のある酒米になりました。
日本酒を造る多くの酒蔵が山田錦を使って造っていますが、それと同じぐらい雄町を使って日本酒を造る酒蔵も全国的には多く、色々な日本酒銘柄の雄町をよく見かけます。
「雄町」を使った日本酒はなぜ人気?酒蔵の個性がはっきり出る酒米
これだけ人気のある雄町ですが、酒米としての特性としては数ある酒米の中で山田錦のように優れているわけではありません。
ではなぜ”オマチスト”という言葉で出来るほど雄町を使って造った日本酒は人気が出たのか?
その理由は、同じ雄町を使っている日本酒なのにそれぞれで違った多様な個性の日本酒を造ることができるというところです。
酒米の王様「山田錦」は正当派のストレートな日本酒の美味しさを追求出来る酒米ですが、反面酒蔵による変化が乏しい日本酒でもあります。
対照的に、雄町を使うと様々な味の変化を出すことが出来るので、酒蔵によって造りたい味やその蔵の遊び心を表現できるポテンシャルを持った酒米です。
日本酒好きになると酒米で選んで日本酒を飲むことがよくあります。
飲食店でもし山田錦と雄町の日本酒が並んでいたら、だいたいどんな味か想像できてしまう山田錦よりも、色々な味を楽しめるという期待から雄町を選ぶ人が多い傾向にあるようです。
ジューシーな酸味が特徴!雄町を使った日本酒の味わい
雄町を使った日本酒はジューシーな酸味が特徴的ですが、酸味と言っても銘柄によってその感じ方は全然違います。
お米の旨味を感じるよりも前に飲んですぐに来る酸味や後味の余韻として感じる酸味など、「同じ雄町でも蔵によって個性が出る」と言われる理由です。
酸味が特徴的な日本酒になりやすい雄町ですが、逆に酸味を出さずに米の旨味を前面に出して香りも抑え目に造られた日本酒を造る酒蔵もあります。
ただ、雄町を使っているのにそういった風味を出してしまうと、雄町ファンからは「雄町らしくない」なんて言われることも。
酸味の出し方1つで全く違うお酒になるので、万人においしいと思ってもらえる日本酒を造るには難しいかもしれませんが、その銘柄の個性を表現するにはとても適した酒米です。
さらに、雄町を使うことでハッキリとした味ではなく少し複雑な味になることが多いので、食事との相性を考える時にあまり白黒ハッキリ分かれることがなく色々な料理との組み合わせを楽しめる銘柄が多いのも特徴です。
雄町を使った日本酒をご紹介
雄町を使った日本酒は全国に多数ありますが、やはり多いのは雄町の原産地の岡山県です。
雄町の日本酒は定番品に対して「特別品」や「限定品」にしていることが多いです。
ほんの一部ですが雄町を使った人気の日本酒をご紹介します。
黒牛【和歌山県】
黒牛は主に山田錦を使用していますが、限定品として雄町のお酒を専用のラベルで出荷しています。
黒牛は季節のお酒も、新酒とひやおろし以外は目立った物がなく、限定流通の定番品としての山田錦を使った生原酒が根強い人気があります。
こうしたしっかりとした基盤があるからこそ、限定品としての雄町が活きてくる銘柄です。
結【茨城県】
雄町に力を入れていると蔵が豪語している珍しい酒蔵です。
本醸造から純米大吟醸まで幅広く酒米を使用していますが、結という銘柄の代表はピンクのラベルの備前雄町になります。
また2017年新酒鑑評会にて、雄町を使った純米大吟醸が初めて金賞を受賞したことで人気が出ています。
結シリーズはこちらの記事でも紹介していますが、それぞれラベルの色もカラフルでプレゼントにもおすすめです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
雄町には他の酒米には無い面白い大会があります。
その名も“雄町サミット”です。
日本酒の酒米に着目し、雄町のみを使った日本酒のコンペディションです。
実は酒米に着目した大会というのは、今までありそうで無く、この雄町サミットが初ということになります。
年々参加銘柄も増えて、賞を受賞したお酒が宣伝されることも増えてきました。
主催が原産地の岡山県ということもあり、今後こうした酒米の大会も増えていけば面白いと思います。
是非とも自分の好みの雄町の日本酒を探してみて下さい。
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