映画「君の名は。」は空前の大ブームになりましたが、今でもそのブームはかなりの余韻を残していて、今もなお人気が高い映画となっています。
その映画の中に出てくる「口噛み酒」。
映画のシーンはとても世間を賑わせていますが、今回は日本酒のブログとして「口噛み酒」についてもう少しフォーカスして日本酒の歴史も踏まえながら見ていきたいと思います。
さらに、そんな映画のワンシーンに出てきたお酒にそっくりな日本酒が変えるという素晴らしい酒造がありましたので、そちらもご紹介しましょう。
日本酒の起源「口噛み酒」
今でこそ全国各地で手作業や機械の醸造で日本酒が作られている時代ですが、その起源をたどると、日本最古の日本酒造りが「口噛み酒」であったという説があります。
懐かし〜い歴史のお話です。
縄文時代
まずは日本におけるお酒の起源です。
日本での最初のお酒は「ワイン」と言われていて、この頃発達した縄文土器の文化により貯蔵などが可能になりましたが、その際に潰れた山ブドウが自然発酵したことによりお酒、ワインになったと言われています。
ほったらかしていて酸っぱくなってそうなものですが、これを飲もうと思った昔の人はすごいチャレンジャーですね。
弥生時代
稲作が伝来してきた弥生時代、紀元前3世紀に書かれた「魏志倭人伝」には北九州や山陰地方、近畿地方など大陸(今でいう韓国や中国)で酒造りが始まったとされています。
紀元前500〜1,000年というと今から3,000年以上も前から日本酒が誕生していたということに驚きを隠せません。
この頃から人工的に日本酒を作る製法として使われていたのが、今回話題になっている「口噛み酒」です。
通常日本酒の製法としては酵母と乳酸菌などの微生物で醸すので、これらの微生物が酒米を分解する酵素を出して酒米を分解しながら日本酒を作っていきます。
一方、昔は微生物なんて存在をわかっていません。
そこで、昔の人はどうすればお酒を作れるのかを考え、編み出したのがこの「口噛み酒」で、基本的には村中の男女がお米と水を用意して、唾液中に含まれるアミラーゼやジアスターゼを利用して米の分解を促進し、そこに空気中の酵母がふわーっと寄ってくることで発酵させることができる!と思ったようです。
おそらく酵母がふわーっと来てることは知らなかったと思いますが。。。
古来の日本ではお酒は巫女さんが作るもの出会ったと考えられていますので、映画のようなワンシーンが生まれるわけですね。
この「口噛み酒」の手法は今でこそ日本ではほとんど見ることはありませんが、実は現在でも東アジアや南太平洋、中南米などでは使用されている方法です。
なぜ「口噛み酒」は見なくなったのか?
実はいくつか理由がありますが、今出来ない一番の理由は「酒税法」です。
こちらの記事(日本酒好きにおすすめ!おつまみ付きの日本酒定期取り寄せ「saketaku」の秘密)でも紹介しましたが、この酒税法は日本酒の酒造が激減した理由の一つでもあり、「口噛み酒」が見られなくなった原因でもあると思います。
この「酒税法」、簡単にいうと「自分たちで勝手にお酒を作ってはいけません!」という規則が入ってしまいました。
どんなお酒であっても勝手には作れないので、昔から神様へのお供え物などにもされていたどぶろくや口噛み酒も例外なく一般の人がたくさんの量のお酒を作ることが出来ません。
その為、伝統的に各家庭で継承されて来たお酒造りなどが継承できなくなってしまい、どぶろく文化やお酒を造る文化自体が完全に衰退してしまいました。
時代の変化や流れとともに、色々な伝統がなくなってしまうのは残念な部分もありますが、実はそれだけではなく、新しい文化が生まれるきっかけになることもあります。
世界無形文化遺産となった「和食」と一緒にまた注目を集めている「日本酒」という文化が、また一段と輝くのはとても楽しみもあるので、日本酒もこれから更に進化して再度盛り上げてもらいたいと思っています。
喉から手が出るほど欲しい「聖地の酒」
映画のブームとともに「『口噛み酒』とはなんだ?」というブームが巻き起こり、映画中に出てくる口噛み酒が欲しいといった需要や、そのシーンで出てくるお酒の入れ物にとても目を惹かれた人も生まれていました。
更に、聖地巡礼がとても流行し、岐阜県の高山や飛騨地方は突然の「君の名は。」バブルに見舞われました。
そんな中、そのバブルに乗ってとても魅力的な日本酒を醸した酒造があります。
それが聖地巡礼の地で日本酒を作っている渡辺酒造店の「蓬莱 聖地の酒」です。
この見た目、どうですか?ファンの方は欲しくてたまらないのではないでしょうか。
なんと映画で出て来た口噛み酒の器を模した日本酒が発売されました。
考案したのは創業明治3年の渡辺酒造店の今年の新入社員2人だということで、やはり伝統だけではなく新しい発想、新しい風が必要なのだなと感じました。
もちろん中身は老舗だから出せる、しっかりした味わいの日本酒「蓬莱」が入っていますので、味も間違いありません。
ちなみのこの「蓬莱」という日本酒はANAのファーストクラスにも採用される程のハイレベルな日本酒です。
もちろん全国の「君の名は。」ファンの方々が黙っているはずもなく、発売後1日で1,200本が完売するという事態になったようです。
飛騨まで行けない。。。という方にも通販で購入できるので安心してください。
また、「君の名は。」ファンもしくは「口噛み酒」ファンの方へのプレゼントにももってこいではないかと思います。
更に更に、巫女さんが造る口噛み酒にちなんで、巫女さんの書かれた可愛いラベルの日本酒も発売されています。
「君の名は。」ファンにとっては喉から手が出る程欲しいのではないかと思いますが、あなたはいかがですか?(私は欲しいです。)
アイデアもとても面白く、日本酒としても実力のある渡辺酒造店の「蓬莱」という日本酒、改め「聖地の酒」を是非楽しんでください。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は「口噛み酒」というテーマで日本酒の歴史に触れながら、日本酒の起源や伝統の大切さと時代の変化、そして現代を生き残る為の発想が見えて来たと思います。
もちろん伝統は大切ですし、良いところもたくさんありますが、そこだけにとらわれない発想、時代にあったニーズに応えるという意味での、日本酒業界の今後の更なる発展、進化がとても楽しみです。
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