本州の酒蔵では、酒蔵同士の繋がりが深く実は遠い親戚という蔵があったりします。
100年以上前に分かれてから、今も繋がりが深かったり、逆に今では疎遠で、ほとんど顔も合わせない蔵などもあったりします。
それゆえに、ルーツは同じでも味も造りもまったく違うということが多々あります。
福島県二本松市の人気酒造もその一つです。
今回は比較的新しい銘柄である、人気一をご紹介します。
近年では珍しい新しい酒蔵
人気酒造は、同じ福島の酒蔵である、奥の松酒造の親戚でもあります。
人気酒造は近年では最も新しい酒蔵の一つです。
新しく酒蔵を立てるというのは、免許や資金の面などで大変困難なため、新しく酒造を立ち上げるのは大変珍しいです。
最近は大手の酒蔵でも採用するところが増えていますが、杜氏制の日本酒造りではなく、製造部門での日本酒造りという、杜氏一人の感性に囚われない近代的な日本酒造りを行っており、人気酒造もこの方法を採用しています。
場所によっては「日本酒は昔ながらの手作り」が全てという考えが根強いですが、造りの面での日本酒文化というのも時代とともに移り変わっています。
「人気一」の味わい
人気酒造の日本酒の特徴としては、吟醸酒以上の日本酒しか造らないということにあります。
定番品から限定品まで、ほぼ全ての商品が主に純米吟醸です。
風味はやや辛口で、東北地方の日本酒らしいスッキリした味わいが特徴です。
また吟醸にこだわっている事もあり、香りの華やかなタイプの日本酒になります。
ゴールド人気 純米大吟醸(定番品)
人気一の日本酒の中で、主力となる商品がこのゴールド人気です。
定番品ながら50%精米の純米大吟醸で、風味はやや辛口ですが、抜栓して2日目からの香りの拡がりが、さすが大吟醸だと思わせる日本酒です。
飲み方も、冷やして良し、燗でも良しと色々楽しめ、何よりも純米大吟醸で、値段が3000円を切るのもコスパが良く重宝します。
青人気 吟醸
辛口好きにはたまらないほどに、スッキリとした辛口の吟醸酒です。
吟醸らしいキレのある後口が何よりの特徴で、昔ながらの淡麗辛口な日本酒が好きな方にはぴったりの一本です。
飲み方は冷やしてスッキリ飲むのが良いですが、常温で飲むと吟醸らしい香りの良さが活きてきます。
燗酒スペシャル 純米吟醸(お燗専用酒)
燗酒コンテストで金賞を取ったこともあるお燗専用酒。
風味はやや甘く、お米を感じる吟醸香が人気一らしいスッキリさと相まって、燗につけると、香り・味・抜けの良さと三拍子そろって完成度の高さが感じられます。
飲み方は50度前後の熱燗で飲むのがおすすめです。
立春しぼり 純米吟醸(限定品)
人気一の日本酒の中で、唯一の生原酒の商品です。
2月の立春に絞る「立春しぼり」で、立春の日に絞ることを優先するため、年により味の違いはありますが、概ね風味は甘く、香りも鮮烈に拡がります。
原酒の力強さと味濃さは、スッキリとした日本酒の多い人気一の中で、群を抜いて濃いです。
飲み方は軽く冷やして飲むのが良いです。
夏生 純米吟醸(限定品)
夏の生酒として毎年発売される限定品です。
夏にピッタリな瑞々しさと、若干の青臭さを感じる夏酒です。
風味はやや甘めで、後味のスッキリさは人気一の中で一番の爽快感があります。
飲み方は冷やして飲むのが良いです。
皆造しぼり 純米吟醸(限定品)
酒蔵の一年の仕事の中で、すべての絞りが終わることを皆造(かいぞう)と言います。
その皆造の時期に絞った限定品です。
夏の終わりに向けて絞られるので、風味はやや甘く、香りは抑え目ですが、旨味がのって人気一のお酒としては濃い味わいになっています。
生酒なので冷やして飲む他、常温に戻して、米の旨味を感じるのもおススメです。
海外に向けてのPR活動
蔵としての歴史はまだ浅い人気酒造ですが、世界に日本酒をPRする活動を幅広く行っています。
ノーベル賞のナイトキャップパーティでのゴールド人気が使用されたり、F1の国際大会で、シャンパンの代わりにスパークリングの純米大吟醸が使用されたりと、具体的には人気酒造のHPに詳細は書いていますが、日本酒を使ってもらうように働きかけなどの、海外を意識したアブローチを多く行っている酒蔵でもあります。
大小様々な酒蔵がありますが、出来た当初から、基本戦略の一つに海外に日本酒を売り込むように計画している酒蔵というのも、日本酒のグローバルな流れを感じます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
新しい酒蔵、杜氏のいない酒造り、海外での日本酒発信など、歴史ある酒造りというよりも、現代に即した日本酒の形が人気一にはあります。
日本有数の日本酒蔵が多い福島県で、こうした酒蔵があるというのも面白いです。
はじめの話に戻りますが、本家分家の関係にある酒蔵で、一方は広く有名になった銘柄もあれば、もう一方は未だに地元でしか飲まれていないお酒もあります。
それを良しとして敢えて何もしなかったり、どうにか広めようと頑張っている蔵もあります。
どちらかと言えば、人気一の日本酒はそれほど知られていないお酒です。
蔵によってやり方は千差万別ですね。
人気一を見かけたら、是非試して見てください。
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