日本には学業成就や家内安全など、さまざまな願いを祈願するための神社が数万か所もありそれに関係する人物や神様が祀られています。
お酒に関する神様を祀った神社もあります。
その中でもとくにお酒に縁の深い神社を日本三大酒神神社と呼ばれ、現在の日本酒に深く関係する所縁ある有名な神社です。
なぜそう呼ばれるのか、その理由について学んでみましょう。
日本酒に関係する日本三大酒神神社【梅宮神社・大神神社・松尾大社】
多くの神社がある中、より日本酒に関係のある神社である「梅宮大社」「大神神社」「松尾大社」のことを日本三大酒神神社と呼びます。
そこには日本酒に深く関係した人物が祀られており、日本酒好きな人は聖地巡盃として必ず訪れるほど歴史深い神社です。
お酒造りはここから始まった!女性からの信仰もある梅宮大社
京都府京都市右京区梅津フケノ川町30HP:http://www.umenomiya.or.jp/(画像の出典元)
酒造りの祖と言われる「酒解神(サケトケノカミ)」が祀られている神社です。
酒解神は「大山祗神(オオヤマズミノカミ)」とも呼ばれます。
木花咲耶姫命(コノハサクヤヒメノミコト)が彦火々出見尊(ヒコホホデミノミコト)を出産する際に大山祗神がお酒を作って祝ったというお話しがあります。
瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が初めて水稲を作ったとされる田んぼから取れた穀物を使ってお酒を作りました。
穀物を使ったお酒はこれが初めてだと言われており、お酒造りの祖と言われるようになりました。(狭名田の長田伝説より)
こういった経緯によりお酒造りの祖としても崇められていますが、子授け・安産祈願として女性からの信仰もある神社です。
酒林発祥の地!うま酒のみむろ山にある大神神社
奈良県桜井市三輪1422
HP:http://oomiwa.or.jp/(画像の出典元)
三輪山自体がご神体としている珍しい神社ですが、ここには「大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)」が祀られています。
本殿を構えず山全体を神として崇める日本最古の神社です。
日本書紀では、崇神天皇の時代、国は疫病に侵され危機に直面していて困り果てていました。
そんなある日、夢で「私の子孫である大田田根子(オオタタネコ)を三輪山の祭主とし、お酒を奉納しなさい」という大物主大神からのお告げを聞きます。
それを聞いた崇神天皇は急いで人を集め一晩かけてお酒を作り奉納しました。
すると疫病は治まり国は元通りの生活を取り戻せた。というお話しがあります。
また三輪山は「三諸山(みむろやま)」と呼ばれ、「みむろ」→「実醪(みむろ/もろみ)」=「酒のもと」という意味を持ち、「うま酒のみむろ山」とも称されていました。
こういった事から酒造りとしても、国造りの神様としても崇められていました。
さながら三輪山から世の中を見渡し安泰を願う、といった感じでしょうか。
そして三輪山は「酒林(さかばやし)」の発祥でもあります。
このサイトのタイトルにも使わせてもらっています。
酒蔵の軒先に丸い杉の玉がぶら下がっているのを見たことがあるでしょうか。
あれは酒林や杉玉と呼ばれ、新酒が出来たことを周りに知らせると同時に神様へいいお酒が出来るよう願う意味を込めて飾っています。
酒神である大神神社の三輪山、その御神木である杉で作ったことが起源とされ今現在でも全国の酒蔵へ届けられています。
新しいお酒が作られた時に飾る酒林は青々しい色をしていますが、飾っておくとだんだん茶色へ変化します。
それがそのお酒の熟成具合だと言われています。
酒造りが得意な秦一族が酒造りを広めた松尾大社
京都府京都市西京区嵐山宮町3
HP:http://www.matsunoo.or.jp/(画像の出典元)
松尾神社は日本に20か所以上しますが、総本山は京都府にある松尾大社です。
「八塩折(ヤシオオリ)の酒伝説」で有名なスサノオノミコトの御孫である「大山咋神(オオヤマグイノカミ)」が祀られています。
5世紀頃、秦の始皇帝の子孫で言われていた「秦(はた)一族」が来住してきました。
秦一族は松尾山の一族を氏神様と仰ぎ、その土地の開拓に積極的に従事しました。
開拓が進むにつれ人々が集まるようになり農場も盛んに行われ始めました。
もともと酒造りが得意としている秦一族がそこでお酒造りを始めたことから松尾神社は「日本第一酒造神社」と言われるようになりました。
その後江戸時代には人の行き来により京都や奈良で出来たお酒を江戸へ運べるようになりました。
運ばれたお酒は他のものに比べて美味しいと評判になり、これほどのお酒を作れるのは松尾の神様のおかげだと言われるほどでした。
ぜひその恩恵にあやかりたいという願いから全国各地に松尾神社のご分霊がなされました。
各地に出来たことで、より人々に知られるようになりお酒を造る際にお参りをする「酒造りの神様」として有名になりました。
余談ですが、島根県出雲にも松尾神社があり、別名「佐香神社」と呼ばれています。
ここには「久斯之神(クスノカミ)」が祀られています。
出雲と言えば恋愛成就の神様である出雲大社を思い浮かべてしまう人が多いと思いますが出雲大社にも関係ある神社の一つです。
神無月(旧暦10月)には全国各地の神様が出雲大社に集まり、人々の出会いや縁についての話し合いをすると言われていました。
そしてそこに集まった八百万の神様にお酒を振る舞ったのが久斯之神です。
おもてなしが好きな神様だったのでしょうね。
紹介させていただいた三大酒神神社では今でも「酒まつり」や「田植祭」などを行い過去の伝統に則って感謝の意を表しています。
京都・奈良へ旅行に行く機会があれば是非訪れてみるといいかもしれません。
興味がある方はお祭りにも参加してみるといいと思います。
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