日本酒と言えば米どころである北陸や東北が一番だとイメージされがちですが、実は日本一生産しているのは兵庫県なのです。
日本酒作りで一番使用されている酒米「山田錦」の生産量も日本一、全国へ輸出している山田錦の85%は兵庫県で作られたものです。
今回は日本酒の聖地でもある兵庫県の日本酒造りについてご紹介します。
兵庫県の土地と環境について
本州中西部に位置し、近畿地方に属する兵庫県。
兵庫県中央に走る中国山地は高い山々があり、日本海側は雪・雨が多く、瀬戸内海では天候が良く乾燥した土地の二極端な気候を持ちます。
東南部にそびえ立つ六甲山からは「六甲おろし」と呼ばれる寒風が灘区地域へ流れ込み、寒造りにとても適した土地です。
神戸層群と大阪層群で成る地形はマグネシウムとリンを多く含み、粘土質で水はけの良い土地なので、水田土壌にとって作物を育てる最高の環境と言えます。
日本酒を支える山田錦
日本酒には欠かせない酒米、全国で作られている日本酒の8割以上に使用されているのが兵庫県産「山田錦」です。
大正12年、兵庫県明石市の兵庫県立農事試験場で作られました。
それまで「山田穂」という酒米は存在していましたが、現在ではほとんど見なくなった為「幻の酒米」と呼ばれています。
この「山田穂」を母株とし父株「短棹渡船(たんかんわたりぶね)」を合わせて作られたのが山田錦です。
精米歩合50%以下にも耐えられるお米の強さと大きさ、タンパク質の低さが評判を呼び全国で愛用されています。
現在では株分けをして兵庫県以外でも作られていますが、兵庫県三木市や加東市など特A地域で作られる山田錦はどこよりも質良く生産量輸出量を維持しています。
灘五郷(なだごごう)
灘五郷は「灘の生一本」と呼ばれる日本酒の生産地、兵庫県神戸市東灘区・灘区・西宮市の地域を指す言葉で、この地域には多くの酒蔵があります。
その理由としては
- 山田錦の取れる土地が近くにあり酒米に困らない
- 西宮市西宮神社南東に流れる宮水(みやみず)と呼ばれる上質な水が流れている
- 寒造りに最適な「六甲おろし」が吹いている
- 輸出できる港があった
ことが上げられます。
日本一の酒造地帯として現在もその形を残し、多くの酒蔵で作られる新酒の香り漂う一帯は環境省「かおり風景100選」に選ばれるほどです。
酒米と食用米との違い
日本酒作りで使用する酒米と普段食べるお米(食用米)はどういった違いがあるのでしょうか。
その1 食用のお米に比べて一粒一粒大きいのが特徴。
精米を行う際にあまり小さすぎると砕けてしまい中心部に多く含まれる心白(しんぱく)をダメにしてしまう恐れがあるので大きいものが適しています。
その2 心白の大きさ
この心白はタンパク質が少なく、磨いても砕けにくい粘着性、醪に溶けやすい性質を持っています。酒米はこの心白が大きいものを使用しています。
その3 お酒造りに適した蒸米吸収性や麹の作りやすさがあること
食用のお米はタンパク質や糖質を多く含みそれが旨味として現れますが、日本酒を作るために食用米を使用するとその旨味が苦味や雑味などの逆効果として現れてしまいます。
新潟県産「コシヒカリ」や宮城県産「ひとめぼれ」など米どころで有名な東北は酒米としてではなく食用米としての人気を博しています。
兵庫県の銘酒
多くの銘酒がある兵庫県ですが、その中でもとくに人気のある銘酒の紹介をしたいと思います。
剣菱(けんびし)
神戸市灘区、500年以上の歴史ある銘酒。
ラベルには精米歩合が書いていない、珍しいラベルの日本酒です。
理由は毎年毎年その米に合った精米をする為、記載をしてしまうとそれに従事なければならず味の幅を狭めてしまいます。
なのであえて記載せずにその年に出来た酒米の具合と職人の腕前で勝負をするというこだわりを持っています。
味は甘くもなく辛くもない普通(±0)、熱燗にするとより旨味が引き出されるのでオススメです。
播州一献(ばんしゅういっこん)
宍粟市山崎町の170年続く山陽盃酒造の銘酒「播州一献」は、関西で唯一の鉱山貯蔵庫を持つ蔵元です。
「明壽蔵(めいじゅぐら)」と呼ばれ、鉱山内は年中13~15度を保っているので長期間貯蔵が可能で、自然の力で作った日本酒は味の深いなめらかに仕上がります。
種類にもよりますが辛口のものが多く、なめらかな舌触りをより味わえるよう冷酒で飲むのがオススメです。
菊正宗
神戸市東灘区にある350年続く銘酒。
「辛口一筋」を謳い、よりおいしい辛口をより多くのお客様に、をモットーとしています。
居酒屋に置いてあるところも多く、コンビニではワンカップ・紙パックでの販売も全国区でしているのでとても身近に感じる日本酒の一つです。
味はもちろん辛口!
ぬる酒・常温・冷酒全ての飲み方に合うお酒ですが、引き締まったのどごしの冷酒はとくに一押しです。
菊正宗は日本酒でも実力がありますが、最近では日本酒が美容効果があると注目されており、そのブームの最前線にいるのが菊正宗酒造から出ている「日本酒の化粧水」です。
私も使っていますが、かなり乾燥肌には効果があります。
https://www.sakebayashi.com/cosmetic-kikumasamune-nihonsyunokesyosui
これからの時代は日本酒を作るだけでなく、どう活かすかも考えていかなければいけないのかもしれませんね。
さいごに
兵庫県がいかに日本酒と関わり合いがあるのか、おわかりにいただけたでしょうか?
まだ現在のような便利な時代でなかった頃から、地の利を活かしたお酒造りと酒米「山田錦」は日本酒を語る上で欠かせないものです。
毎年3月には兵庫県三木市で「山田錦まつり」が開催されています、興味のある方は是非チェックしてみましょう。
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