近畿地方は本州中西部に位置し、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・三重県・滋賀県・和歌山の二府五県をまとめた地域です。
歴史や地形の違いなどについて少し細かく見てみましょう。
大阪府
江戸時代に「天下の台所」と呼ばれた大阪府は、江戸へ多くの物資を運び商業や食文化に栄えた町でした。
主に「純米酒」系の日本酒が多く、米の旨味を感じつつキレがいいので大阪名物「串カツ」など油っぽく味の濃い食事にも負けません。
食文化を大切にした町だからこそ邪魔のしない風味や食べ物に合うお酒が好まれ、そういった酒造りへ発展していったのではないでしょうか。
現在は東京に続く経済の中心地として発展したので、大阪府内の蔵元が少なりつつありますが、人の集まるその場所を利用し日本酒の試飲会「天満大酒会」という大阪蔵元のお酒を堪能できる大きなイベントがあります。
地元の人や他県の人達に大阪のお酒を知っていただくイベントとして数年前から年1回で開催していますので、その時期に大阪にお立ち寄りの際は行ってみてください。
大阪府で有名な日本酒には「呉春」などがあります。
京都府
昔ながらの街並みが色濃く残る京都府ですが、その中でも伏見は日本2位の日本酒生産量を誇ります。
京都市では全国で初めて「清酒(日本酒)の普及促進に関する条例」ができました。
この条例は日本酒は日本の誇る伝統産業の一つであり、私達の暮らしに大きな影響を与えてきたことから、「その素晴らしさを改めて見直し、普及促進する」という目的を持ちます。
伏見区は特に日本酒の生産地として有名ですが、ここは桂川・鴨川・宇治川の3つの川に沿った平野部と桃山丘陵を南端とした山々から構成されており、江戸時代では大阪と結ぶ淀川水運の玄関口として栄えていたこともあり、日本酒で有名になりました。
地層は粘土質で柔らかな性質をもっており木々の育ちにくい環境ですが、丘陵地に降る雨は流れるより前にしみ込んでしまう伏流水(土壌でろ過されたミネラル豊富な水)となり日本酒作りの支えとなりました。
水は中硬水なので滑らかで柔らかな日本酒になることから、「女酒」と言われることもあります。
京都府で造られる有名な日本酒として「澤屋まつもと」などがあります。
兵庫県
酒米使用率日本一である「山田錦」生産元、そして日本酒生産量日本一の地、兵庫県。
日本最大の清酒メーカー「白鶴」を生み出したのも兵庫県です。
六甲山から吹く六甲おろしの寒風で育つ山田錦は全国でも使用され、日本酒には欠かせない「酒米の王様」として君臨しています。
灘五郷は日本酒の生産地帯として日本一を誇る一帯となっています。
兵庫県をそこまで日本酒として有名にさせた要因として六甲おろしで育つ酒米「山田錦」と「寒造り」、上質な水である「宮水」が上げられます。
こちらは先ほどの京都・伏見の水に比べ少し硬度が高いため、辛口の日本酒が多く、「男酒」と呼ばれることもあります。
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兵庫県の有名な日本酒は「剣菱」「奥播磨」「仙介」「播州一献」などがあります。
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奈良県
清酒発祥とされる大本山「正暦寺(しょうりゃくじ)」のある奈良県。
時は平安時代、寺院でのお酒造りは禁止されていましたが神へ献上するためのお酒を自ら作ったことが起源とされています。
寺院で作るお酒を「僧坊酒(そうぼうしゅ)」と呼びます。
独自で作ったお酒はより濃くなるよう「三段仕込み」をし、酒母の原型「菩提作り」、腐敗を防ぐ「火入れ」をして丹念に作られました。
これは現在の日本酒作りの基礎でもありますが、ここまで念入りに作られた清酒は朝廷に認められるほど美味しいものでした。
そこで作られるお酒を「南都諸白(なんともろはく)」と言い当時は上質で高級なお酒の代表とされていました。
奈良県の有名な日本酒は「風の森」「篠峯」「春鹿」などがあります。
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三重県
伊勢志摩サミットでオバマ元大統領が飲んだ「而今(じこん)」「作(ざく)」などがある三重県。
日本酒のイメージがほとんどない県ですが、サミットをきっかけに注目され人気が出てきました。
紀伊山脈と伊勢平野に囲まれた寒暖の差が激しい土地は兵庫県産、山田錦の母株「山田穂」の栽培地です。
今では山田錦が有名になってしまい、また栽培の難しさから山田穂の生産は激減していますが、それでも「幻の酒米」と名高いものです。
三重県の有名な日本酒は「而今」「作」「半蔵」などがあります。
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滋賀県
江戸時代、滋賀県は東海道と東山道の交わる交通の場所でした。
多くの人が通るその場所では町沿いに宿泊施設や酒飲み場が多く立ち並び、日本三大商人の一つである近江商人は近江の酒を全国へ広めると同時に酒造りの技術を広める貢献をしました。
滋賀県の面積約1/6を琵琶湖が占め、それを囲う山々からの地下水は作物の栽培にも適しており、酒米「日本晴」「玉栄」は滋賀県の蔵のほとんどで使用されています。
滋賀県の有名な日本酒は「不老泉」「笑四季」「松の司」などがあります。
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和歌山県
和歌山県はあまり日本酒のないイメージですが、一部の地域では多くの蔵元があります。
その地域とは和歌山県北部に位置する「紀ノ州」沿いです。
奈良県から流れている紀ノ川はミネラル豊富な伏流水が日本酒作りの支えとなり、今までは酒米を他県から仕入れていましたが、近年では酒米の栽培も自県で行い地産地消をしています。
また和歌山県は「南高梅」が特産品、それを使った梅酒が有名ですが梅酒と日本酒を合わせたお酒など独自なものも開発をしていて他とは違った日本酒を楽しめます。
和歌山県の有名な日本酒は「紀土」「黒牛」などがあります。
近畿地方の県別の特徴をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
近畿と一口に言ってもその県の特徴や歴史はそれぞれ違った形で発展してきました。
酒米「山田錦」が身近で手に入りやすい環境で自然と日本酒作りが定着してきましたが、どの県も負けじと個性ある自県の良さを取り入れた日本酒は旅行の際に飲んでみたり、お土産としてとてもピッタリなのではないかと思います。
ぜひそれぞれの地域の色々な特徴を知った上で楽しんでみてください。
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