夏場で良く飲まれる日本酒の冷酒ですが、冷酒といってもただ冷蔵庫で冷やしただけのものではありません。
冷酒にも種類があり、それぞれに適温が定められています。
温度やそれに合った種類を学んでより美味しく日本酒を味わってみましょう。
冷酒の種類について
冷やして飲む人が一番多いと思いますが、冷酒とはいったい何度の事を指すのでしょう?
実は冷酒は以下の4種類に分かれます。
- みぞれ酒
- 雪冷え(ゆきひえ)
- 花冷え(はなひえ)
- 涼冷え(すずひえ)
それぞれ飲み方や特徴があるので詳しくみてみましょう。
みぞれ酒・・・0℃のお酒
みぞれ酒はキンキンに冷やした日本酒で、グラスに移すとサッと氷結しシャーベット状になります。
そのシャリシャリとした触感と口の中で溶けて広がる香りがとても美味しい飲み方です。
そのまま飲むのもいいですが、レモンスライスやレモン汁を入れるとより一層爽やかなのどごしになります。
またみぞれの状態を氷のように見立てて梅酒やリキュールを入れれば日本酒風味のカクテルの出来上がりです。
お店で出していることは少ないのですが、みぞれ酒は自宅でも作ることができます。
日本酒はマイナス10度前後で凍ってしまいますが、振動を加えず静かにゆっくり冷やすとマイナス10~15度まで液状を保つことができます。
自宅の冷凍庫に日本酒をそのまま入れてみてください、だいたい8~10時間後にはキンキンに冷えたみぞれ酒に仕上がっています。
暑い夏場にも最適ですが、寒い冬場に温かい食べ物と共に雪景色のようなみぞれ酒を飲むのも一興かもしれませんね。
ただし凍ってしまうとお酒の中に入っている醸造アルコールが味を変化させてしまうおそれがありますので、みぞれ酒をする際には醸造アルコールの入っていない「純米酒」がオススメです。
雪冷え・・・5℃前後のお酒。
キリッと冷えた日本酒は口に含むと温度が高まり日本酒の香りをより引き立てることのできる飲み方が「雪冷え」です。
日本酒は温度によって度数や濃度が変わることはありませんが、温度の低さが日本酒の雑みや甘味をかき消す為、味が薄いと感じる人も多いので好みが少し分かれます。
雪冷えは冷蔵庫で冷やして作る事ができます。
冷蔵庫の温度を一番下まで下げると約5度前後なので設定して冷やすか、冷蔵庫に付いている野菜室も5度前後なのでどちらかで冷やすといいでしょう。
急いで冷やして飲みたい場合には氷水、もしくは氷の入ったボールに日本酒の入った容器を入れて置いておくといいでしょう。
この方法だとお酒を室内に出していても一定の温度を保てるのでとてもオススメです。
みぞれ酒同様に味が変わってしまう可能性がありますので「純米酒」でするのがいいと思います。
花冷え・・・10℃前後のお酒。
居酒屋さんで頼む冷酒はだいたいこの花冷えを指します。
また自宅の冷蔵庫(通常冷蔵)したものも10度前後なので、一番多く飲まれている日本酒の温度だと思います。
冷蔵庫に日本酒を数時間入れて置けばいいだけなので管理がとても簡単ですよね。
どの種類のお酒にも合う温度ではありますが、一番のオススメは「生酒」と呼ばれるものです。
生酒は「本生」「生生(なまなま)」とも呼ばれ、火入れをせずに製造した日本酒のことです。
火入れをしないことで日本酒の中に酵母が生きたまま入り、フレッシュで淡麗な味わいがあります。
この酵母は熱や時間経過でなくなってしまいますので、冬から春咲きの一時期しか味わうことができません。
この酵母をより長く生きさせるために10度前後というのはとてもいい温度となっていますので、是非花冷えで飲むといいいでしょう。
ちなみに「花冷え」は季語でもあり「桜が咲くころに戻って来ること、その寒さ」という意味があります。
月で言うと3月中旬あたりを指す言葉になります。
涼冷え・・・15~20℃前後のお酒
居酒屋さんなどで「常温」と言われて出されるのがこの涼冷えのことです。
常温というとその辺に出しておいた温度のお酒と勘違いしている人も多いかとおもいますが、日本酒で言う常温というのは口に入れた時に「冷たくもないし、ぬるくもない」という感じの曖昧な温度を指します。
冬場であれば外に出しておいても涼冷えの温度を保つことができますが、夏場ではさすがにぬるくなってしまうので、その季節に合わせて冷蔵が必要になってきます。
香りも雑味も平均的に調和され、本醸造酒でも吟醸酒でも、どの種類にでも合う温度です。
バランスのとれた味わいがありますが、より香りを楽しみたいという方には向かない飲み方になるかもしれません。
豆知識:冷酒と冷や酒
お店で「冷(ひや)で!」と頼むと「冷や酒(ひやざけ)」と勘違いされて常温の日本酒を出されてしまう場合があります。
実は
- 冷酒(れいしゅ)=冷えたお酒
- 冷や酒(ひやざけ)=常温のお酒
を指す言葉になっています。
とても紛らわしいですよね。
注文するときには気を付けないと間違った物が出てきてしまう恐れがあるので注意ですね。
さいごに
冷酒一つとってもこれだけの温度の違いがあります。
お店だとどれだけ冷やしているかは分かりませんが、自宅で飲む際にはちょっと気にして自分で温度を調整するとより美味しい日本酒を味わうことが出来ると思います。
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