お米と麹を主原料として作られる日本酒、日本では2000年以上も前から稲作農業の文化が根付いていたと言われています。
いつごろから日本酒は作られ、飲まれていたのでしょうか。
今回は日本酒の歴史について古来から現在までの製法とともにご紹介します。
日本酒は中国からやってきた?揚子江起源説
中国、揚子江流域では紀元前4800年から稲作農業が始まり、日本よりはるか前からお酒の醸造が行われその品が輸入されたという揚子江起源説があります。
その時中国でお酒造りに使われていた酒坑(しゅこう)と呼ばれるものが日本では紀元前1000年前後縄文時代の竪穴から発見されています。
今のようにお米ではなくクワやキイチゴなどを発酵させていたようです。
穀物を使用していたかは不明で、日本酒がこの頃からあったのかは定かではありませんが、中国からそういった物や文化が伝わっていたことは間違いないと思われます。
日本酒の古来の製法は2種類ー「口嚼ノ酒」と「カビの酒」
日本でのお酒作りに関するものとして一番古く文献として残っているのは700年代、この当時は「口嚼ノ酒」と「カビの酒」の2つの方法でお酒を醸造していたと考えられます。
口嚼ノ酒(くちかみのさけ)
1つ目は「大隅国風土記(713年)」に記載されている「口嚼ノ酒(くちかみのさけ)」というものです。
大隅国=現在の鹿児島県東部ではその漢字の通り、人が口に生米やイモ類とお水を含んで噛み吐き出し一晩以上ツボの中で寝かせて作る方法がありました。
お米やイモ類に含まれるデンプンを口の中で噛むことにより唾液に含まれるアミラーゼと合わさり糖化させ一晩寝かすことにより空気中の野生酵素で発酵させるというものです。
この方法は日本でなく東南アジアが発祥と言われており、この文献が書かれる何年も前から使われていたと思われます。
というのは当時にしてはあまりにも原始的な作り方でした。
また、文献には口嚼ノ酒というのは主に神事の際に使用されていたとの記述があります。
作る事が出来るのはその土地の巫女が担い、お酒を嗜むというよりは神(に使える巫女)からの賜り物といった感じでしょうか。
映画「君の名は。」でも一躍有名になりました。
カビの酒
2つ目は「播摩国風土記(716年)」に記載されている「カビの酒」と言われるものです。
常用のお米に生えてしまったカビを用いた方法です。
麹カビを使って糖化作用させるこの方法は今の日本酒作りと似ているところがあります。
今と違って綺麗にろ過する技術はなかったのでサラっとしたお酒ではなくドロドロとしたものや、練り酒と呼ばれるペースト状だったようです。
国全体で作っていた日本酒!朝廷の部署でお米造り
文献だけを見るとまだ現在私達が飲んでいる日本酒とは程遠く見えますがこの頃の朝廷ではお酒造りを律法の元、部署として配置していたようです。
宮内省には造酒司に酒部と呼ばれる部署があった
689年、飛鳥浄御原令では宮内省には造酒司(みきのつかさ)に酒部(さかべ)呼ばれる部署が設けられました。
そこにはお酒を醸造するための甕(酒殿)と精米するために必要な臼殿、麹を作る為の麹室があったとされています。
現在でも日本酒作りに使用しているバラ麹をこの当時から使用をし、米・麹・水を混ぜ10日ほど発酵。
味は薄かったようですが、作り方や使用しているものは現在と相変わらないものです。
国で管理・醸造していることからお酒は貴重な飲み物として扱われていたのでしょう。
庶民にも日本酒が伝わるようになるのはもう少し先
庶民にも伝わるようになるのはもう少し先の748年。
万葉集(748年)より
はしたて 熊来酒屋に 真罵(まぬ)らる 奴(やっこ) わし 誘い立て 率(い)い来なましを 真罵らる 奴 わし
という長歌が詠まれています。
このことより酒屋が存在し一般の人に飲む機会があったことが見受けられます。
と言っても酒部で作るようなしっかりとした物は高く、酒の粕を水やお湯で薄めたものが主流だったようです。
その後967年に延喜式が制定、お米と麹をただ混ぜて発酵させるのではなく数回に分けて仕込む方法により味の濃いお酒が作れるようになりました。
この方法は現在の段仕込み方法の原型となっており、もう今と変わらない製法・味が完成していたのです。
さいごに
すでに1000年以上から日本酒の醸造の原型ができ上っていた事には驚きました。
また、それと同時に現在もそれを受け継いでいる歴史の深さにも驚きました。
透き通った美味しい日本酒を飲むまでには何世紀もの研究の末に出来上がったものです。
この歴史を心の隅に置いて、ふと思い出した時にはいつものお酒が少し違った味に思えるのではないでしょうか。
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