コンビニやスーパーなどで購入できる枝豆やキムチ、豆腐などの食品も日本酒のおつまみにピッタリなのですが、やはり日本伝統のお酒には全国各地に古くから伝わるその地域独特の伝統料理「郷土料理」がよく合います。
特に「江戸前寿司×澤乃井」や「桜えびのかき揚げ×磯自慢」、「てっちり×秋鹿」など、その地域の魅力がたっぷりと詰まった日本酒(地酒)と郷土料理の組み合わせは、まさに天下一品とされています。
そこで、今回は兵庫県、千葉県、北海道・東北地方、秋田県の絶品郷土料理とそれぞれの地域で醸されている日本酒をご紹介します。
関西地方に春を告げる郷土料理「いかなごのくぎ煮」【兵庫県】
関西地方に春を告げる郷土料理として兵庫県神戸市近辺や大阪府の一部地域で食べられている「いかなごのくぎ煮」。
毎年2月末日から3月上旬にかけて解禁される「いかなご新子(しんこ)漁」で獲れる体長2cmから4cmほどの玉筋魚(いかなご)の幼魚を使った料理です。
獲れたて新鮮なうちに釜茹でし、醤油、砂糖、みりん、生姜などで甘辛く味付けした佃煮のことです。
くぎ煮の由来は、玉筋魚の幼魚を醤油などで味付けして煮込んだ姿が「釘」のように見えることからこの名が付いたとされています。
甘辛く味付けされたいかなごのくぎ煮は、濃いめの味付けなのでホカホカのごはんの上に乗せるだけで立派なおかずとなります!
また、冷めても美味しいので地元の方々はおにぎりの具材やお弁当のおかず、日本酒で晩酌を楽しむときのおつまみなどにして食べることも多いそう。
なかでも特に人気の食べ方がいかなごのくぎ煮をたっぷりと乗せて上からお出汁を回しかけたお茶漬けです。
醤油や生姜の甘辛いタレがお出汁によって溶け、ふんわりと生姜の良い香りが立ちあがり、玉筋魚独特の風味やほどよい佃煮の食感を楽しむことができます。
兵庫県の郷土料理であるいかなごのくぎ煮を日本酒のおつまみとするならば、やはり兵庫県の地酒で頂くのがオススメです。
- 剣菱
- 龍力
- 富士錦
- 神鷹
- 櫻正宗 など
日本酒の定番の酒の肴!アジのなめろうとさんが焼き【千葉県】
千葉県南房総半島沿岸地域を中心に古くから伝わる伝統料理「アジのなめろう」とは南房総一帯で1年を通して漁獲されているアジを使った魚のたたきです。
今では定番の酒の肴として全国各地で食べられるようになったアジのなめろうですが、もともとはこの地域の漁師さんたちが船の上で忙しい漁の合間にパパッと手軽に食べられる食事として誕生した豪快な漁師めしです。
なので味付けは味噌のみというシンプルな料理だったそうです。
それが、いつしか家庭でも作られるようになり、今では味噌だけではなくネギや生姜などの薬味が加えられ、アジのたたき具合も粗めだったりミンチ状だったりと作り手によって大きく異なります。
ただ、アジのなめろうは保存が利かない料理ですので、調理後は必ず新鮮なうちに食べ切るようにしましょう。
千葉県房総半島沿岸地域では、もう1つアジのなめろうを使った郷土料理があります。
それはアジのなめろうを焼いた「さんが焼き」という料理です。
さんが焼きもアジのなめろうと同じく、南房総半島に住む漁師さんが考案した料理の1つであり、今では晩御飯のおかずや酒の肴としてたいへん重宝されています。
千葉県の郷土料理であるアジのなめろうを日本酒のおつまみとするならば、やはり千葉県の地酒で頂くのがオススメです。
- 五人娘
- 梅一輪
- 甲子正宗
- 福祝
- 岩の井 など
歯が頑丈じゃないと食べられない?鮭とば【北海道・東北地方】
鮭の産地として有名な北海道・東北地方では、秋になると故郷である川へと戻ってくる鮭たちを獲り、半身におろして皮付きのまま縦に細く切ったものを海水でキレイに洗い、軒先などに吊るして潮風に当てて干し保存食にします。
鮭とばの「とば」とは、北海道の先住民族であるアイヌの言葉で「鮭を切ったもの」や「群れ」といった意味を表す「tupa(トゥパ)」が語源とされておりますが、アイヌの人々は獲った鮭の身を開いて細長く切り、乾燥させたものを「tupa」と呼んでいたそうです。
そして、長い年月をかけて「トゥパ」という言葉が転じて「とば」となったと言われています。
他にも鮭とばの「とば」は漢字で書くと「冬葉」となり、北海道・東北地方の寒さが厳しくなる冬の時期に細長く切った鮭が、まるで葉っぱのようにひらひらと動いている様から「鮭冬葉」と呼ばれるようになったという説もあります。
最近では一部のコンビニでも鮭とばが販売されているため、仕事帰りに晩酌用にと購入されたことがある方も多いと思います。
しかし、実は昔ながらの製法で作られている北海道や東北地方の鮭とばは非常に硬いので、歯や顎が丈夫な方でなければなかなか食べることはできません。
鮭とばは、身から皮を剥いでそのままむしり取って食べる、もしくは炙って柔らかくして食べ、剥いだ皮はカリカリになるまで炙るまたは素揚げにするのが本来の食べ方とされています。
酒の肴として頂くのであれば、密閉容器に日本酒と皮が付いた状態の鮭とばを入れて冷蔵庫で一晩寝かせると、柔らかくなった鮭とばを食べることができます。
柔らかくなった鮭とばはトースターやグリルなどで焼いて食べるのがオススメですが、塩分が高く非常に焦げやすいのでフライパンで焼くときはクッキングシートを敷いて弱火でじっくり焼くのがポイントです。
噛めば噛むほど鮭の旨味が口の中に広がってゆく鮭とばですが、塩気が強いので1度にたくさん食べるのは危険です。
美味しいからと言って食べ過ぎには要注意です。
北海道・東北地方の郷土料理である鮭とばを日本酒のおつまみとするならば、やはり北海道や東北地方の地酒で頂くのがオススメです。
- 国士無双
- 男山
- 田酒
- 南部美人 など
クリームチーズと合う!燻った野菜の漬物「いぶりがっこ」【秋田県】
秋田県内陸の南部地方に伝わる郷土料理「いぶりがっこ」は、大根などの野菜を燻煙乾燥させて作られる漬物のことです。
いぶりがっこの「がっこ」とは、秋田県の方言で「漬物」という意味を表す言葉であり、秋田県の人々は畑で採れた新鮮な大根などの野菜を囲炉裏の上に吊して燻製にした後、米ぬかと塩で漬け込んで漬物を作っていたため、「燻った野菜の漬物=いぶりがっこ」と呼ばれるようになったそうです。
基本的には沢庵漬けと同じ工程で作られているいぶりがっこですが、漬物となる野菜を燻製にすることで野菜の表面が茶色もしくや黒色へと変化し、燻製独特の香りや味わいが加わり、1度食べたら病み付きになってしまうほど絶品の漬物として人気を集めています。
いぶりがっこは、漬物独特のポリポリとした食感と燻製したことで生まれる風味が魅力の1品ですので、そのまま食べても十分おいしいのですが、酒の肴とするならば薄くカットしたいぶりがっこの上にクリームチーズを乗せて食べるのが、最も日本酒をおいしく感じる食べ方です。
お好みでオリーブオイルやはちみつなどをかけてアレンジを加えるのもオススメです。
秋田県の郷土料理である鮭とばを日本酒のおつまみとするならば、やはり秋田県の地酒で頂くのがオススメです。
- 白瀑
- 両関
- 高清水
- 山本 など
まとめ
今回は全国各地で製造されている日本伝統の酒「日本酒」によく合うオススメの郷土料理を4つご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
今まで日本酒を飲むときは枝豆やキムチ、豆腐など比較的購入しやすい食品をおつまみとされていた方も多いと思いますが、日本酒は酒蔵のある地域の気候や環境、造り手などによって香りや味わいが大きく異なります。
昔から日本酒は酒蔵のある地域の特産品をおつまみにするのが良いと言われていますので、日本酒本来の香りや味わいをより堪能したいという方は、この機会に現在飲んでいる日本酒の銘柄がどの地域で造られているのかを確認して、その地域の郷土料理を肴に晩酌を楽しまれてはいかがでしょうか。
他にもお取り寄せ可能な地方のおつまみについて以前特集しているので、興味がある方はこちらもどうぞ。
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