どぶろくシリーズ最後は「酒粕酵母パン」です。
作ったものは余すとこなく食べてしまいましょう!
今回もオーストラリアのメルボルン在住ライターSさんにお願いして書いてもらいました!
※どぶろくは日本ではご自宅で作れません!
簡単クッキング!どぶろくの酒粕を使ったパン「酒粕酵母パン」
オーストラリア在住ライターのSです。
普段私たちが日々食べているパンも、実は発酵食品の一つであるとご存じでしょうか。
焼き立てのパンの食欲をそそる香りは、酵母によって発酵したドウ(Dough : 穀物の粉に水を加えてからこね上げたもの)の発酵過程で生じるものです。
酵母には無数の種類があり、通常パン酵母として販売されているドライイーストは、その無数にある酵母のうちのひとつの菌株です。
実はドライイーストではなくても、日本酒の発酵過程で生じる酵母を用いてパンづくりをすることもできるのです。
日本酒造りで使われる菌株は、サッカロマイセス・セレビシェーという学名をもち、最も代表的な醸造用酵母でアルコール発酵力が強いのが特徴です。
パンの発酵のほか、ビール、ワインなど酒類全般の醸造に使われています。
ちなみにこの酵母に近縁のサッカロマイセス・サケは清酒酵母ともいい、日本酒の醸造に使われています。
日本酒酵母でも同じ役割!パンの製造における酵母の役割
パンの製造において、酵母による小麦粉の発酵の目的を見てみると、まず発酵によってパンに特有の風味を与える点にあります。
次に発酵によって生じた炭酸ガスが小麦生地(ドウ)を膨張させ、生地中にガスを含ませ、パンの組織を気泡を含ませた状態にし、特有の舌触りや歯ごたえを与えます。
特に、発酵してから焼いたパンと、発酵させずに焼いたパンとでは、焼きあがったパンの持つ香気成分が、発酵したもののほうが7倍も多いという研究報告もあります。
焼きあがったパンの香りは、発酵に負うところが非常に大きいといえます。
今回は、“伝統的な生酛によるどぶろく作り”で出来上がった、搾りたての酒粕の酵母を用いるパン作りをご紹介したいと思います。
ただし酒粕のなかに酵母が生きて残っていることが条件となりますので、できれば搾りたて1ヶ月ほどの、新鮮な酒粕を用意する必要があります。
どぶろくの酵母でパンを作ろう!家で作れるレシピを紹介
まず元種で酵母を増やしてから作ります。
元種作り
材料(元種100g分)
- 酒粕 30g
- 冷ご飯 30g
- 水40cc
- ビンに酒粕、ごはん、水を合わせる。
- 軽く蓋をして冬は常温、夏は冷蔵庫で一日から1週間。
- 泡が出てぷくぷくと発酵したら完成。(ぷくぷくしていなくても、横から見て気泡が出ていればOK)
- 完成したら冷蔵庫で1週間くらい保存可。
- 酵母を使い切ったあと、ビンは洗わずに新たに酒粕、冷ご飯、水を入れて仕込んでおくと、次の酵母が簡単に起きます。
パン作り
- 完成した元種 100g
- 地粉(中力粉) 300g
- 塩 小さじ1
- 水 120cc〜
①ボールに完成した元種100g、地粉、塩、水を合わせ良くこね、半日から一日おく。生地が1.5倍ほどに膨れたら、完成。
②生地を2つに分割し丸め、30分ほど休ませる。(乾燥しないように、固く絞った布巾をかぶせる)
③②の生地を丸めて天板に乗せ、霧吹きをして最終発酵させる。30度前後で1時間。生地が1.5倍ほどに膨れたら完成。
④オーブンを200℃にあたためる。③の生地に切れ目を入れ、霧吹きをして、200℃で20分、180℃で10分焼く。
さいごに
今回、どぶろくを絞った酒粕を用いて翌日に酵母を起こしたので、酵母自体の勢いはよく、パン生地もあっという間に膨れましたが、③の最終発酵の過程で少々発酵が足りなかったのか、仕上がりのパンに“フワフワ感”は欠けていました。
あとは経験を重ねて、発酵具合を調節する必要があるようですが、一切の酵母も乳酸菌も添加しない方法でつくったどぶろくから、パンすらも作ることができるという事実に、発酵の素晴らしさに感嘆するばかりです。
酵母から手作りのパンの味もまた、格別です。
甘くて飲むと体中からほっこりと温めてくれる甘酒は、美容効果として女性や健康志向な人にとても注目されている飲み物で、「飲む点滴」なんて言い方もします。
そんな注目の甘酒の中でも、おにぎり屋と酒蔵と糀屋と味噌蔵が手を組んだちょっと変わった甘酒屋さん、古町糀製造所の「糀の甘酒」は、確かな味と飽きのこないように工夫された様々な味の甘酒があり、健康な生活を美味しくサポートしてくれます。