秋田県の日の丸酒造で作られるまんさくの中でも夏季限定で販売される銘柄があります。
それが今回ご紹介する「かちわりまんさく」です。
日本酒の中でも珍しい「ロック」でも飲めるパンチの効いた日本酒なので、夏の暑い時に飲みたくなる一本です。
日の丸醸造の歴史
秋田県内でも山内杜氏で有名な横手市に数ある蔵の一つで、創業は1689年。
日の丸という名前は秋田藩主 佐竹公の紋『五本骨の扇に日の丸』から名付けられたと言われています。
この名前は商標登録されていて、日本で同じ酒銘はありません。
大正時代には年間醸造数量が5千万石(一万石で約1,800キロリットル)以上という東北でも屈指の醸造所だったのですが、企業整備令により一時廃業に追い込まれました。
1948年に先代が製造量を300石にすることで許可を得て、現在は年間1,500石の生産を行っています。
横手市はかまくらで有名な豪雪地地帯です。
おかげで奥羽山脈のきれいな伏流水が井戸水となり、そのマイルドな軟水を仕込み水として使用しています。
酒米も蔵人自らが栽培し、地元農家と酒米研究会を組み、亀の尾や星あかりといった希少な酒米も育てています。
自家精米にこだわり、ビンで貯蔵し熟成させるという丁寧な酒造りをすることで、ふくよかで上品な味わいの日本酒が多い酒蔵です。
秋田県内で一番大きな冷蔵庫を所有しています。
【酒蔵情報】
秋田県横手市増田町増田字七日町114-2 日の丸醸造株式会社
公式HP:http://hinomaru-sake.com/
日の丸醸造の特色
この『まんさくの花』という名前で流通している主力ブランドですが、昔、某局の朝ドラ『まんさくの花』が横手地方を舞台にしたものだったことから名付けたそうです。
建物も内蔵があり歴史を感じるつくりです。中の装飾品も可愛らしく、家具も昔のまま展示されています。
そんなところに蔵のセンスの良さを感じ、おいしい日本酒にも納得がいきます。
おすすめの一本
そんな日の丸醸造の商品で私が度肝をぬかれた一本が『吟醸原酒 かちわりまんさく』です。
まずはアルコールの強さにビックリ。19度とは流石にパンチの効いた強い味わいです。
喉にグッとアプローチしてくる力強い辛口でした。
醸造アルコールを使用していますが、一般的に日本酒のアルコール度数は14~16度、高くても17度くらいです。
あまり度数が高くなると、酒自体がアルコール消毒され、菌が死んでしまうからです。
ですからこれだけ強い日本酒を味わうことはめったにありません。
一口目のパンチの強さは焼酎のようです。
しかし忘れてはいけないのは、こちらの日本酒の特徴は「かち割り氷」をいれてロックで飲むお酒だということ。
時間が経つにつれ、日本酒の甘い香りがだんだんと引き立ってきます。
同時に氷がとけて水になっていくにつれ、日本酒本来の味もじわじわと滲み出てきます。
度数が高めなので氷の溶ける速度は速いのですが、旨みもたっぷりあるので、決して薄まった印象はなく、むしろ飲みやすく、味も感じやすくなります。
ウィスキーなんかも味を感じやすくするために水割りにしたり、ロックで飲んだりするので、同じ考え方ですね。
他の日本酒では味わえない風味なので、とても面白い銘柄です。
姉妹品「まんさくの花 男のかち割り」
また、発泡系の『まんさくの花 漢のかち割り』という姉妹品?(兄妹品?)もあります。
これもこれでパンチがある辛口の日本酒です。
発泡性なので普通のかち割りよりも香りを感じやすくなっており、甘い香りで山内杜氏らしいつくりだなと思いながら口にすると、アルコールの強さとともに炭酸が押し寄せてきて、『第一印象と違う!』といい意味で裏切られた感を味わうことでしょう。
そこがギャップ萌えのように虜となってしまう一つの要因です。
そしてすっきり飲みやすいのに、味にはちゃんと厚みがあります。
ゴクゴクいけるクチですが、度数を忘れないでください。
わたしはもれなく二日酔いするほど飲んでしまいました。
大量生産をするような蔵ではないうえに、夏季限定商品ということで手に入れるのは少し難しいかもしれませんが、蔵に直接問い合わせてでも飲んでいただきたい一本です。
おすすめの楽しみ方
夏季限定ということで、バーベキューなどで屋外に出て、太陽の下、仲間同士ワイワイ騒ぎながらかち割り氷を入れてキンキンになったところをキューっと飲むのが最高ですね。
塩コショウ&ガーリック味や、バーベキューソースにも絶対に負けないインパクトがあるので最適です。
焼肉や焼き鳥(特にモツやレバー)などの甘めのタレとも相性がいいでしょう。
しっかり味付けした鶏のから揚げや一夜干しにしたカレイの素揚げといった油っこいものも、さっぱり頂けると思います。
晩酌ならばチーズ、特にブルーチーズやハーブを練りこんだ物もいいかもしれません。
秋田のお酒なので、秋田名物いぶりがっこ(大根の漬け物を燻製にしたもの)をチーズと一緒に食べるのもいいですね。
グラスも気取ることなく、外で頂くのであればプラスチックコップでも十分です。
かち割り氷を入れているのでぬるくなる心配もありませんし、そのくらいカジュアルに飲んだほうが逆にオシャレに感じます。
いかがでしたでしょうか?
こちらの蔵は他にも特別純米酒『うまからまんさく』という商品も全国的に有名です。
これは精米歩合55%、日本酒度+10、アルコール度16度と辛口のお酒ですが、米の旨みで辛さをつつみこんでいるため、優しい口当たりという印象です。
別格大吟醸ももちろんおいしいです。
全体的に商品を見ても、クセはないのにいい個性が表われているお酒ばかりで、はまる方も多いようです。
日の丸醸造は季節物や限定商品を数多くリリースするのも一つの特徴ですので、常に注目していると楽しいですし、見たことの無いまんさくシリーズを居酒屋や酒販店で見かけたらラッキーなので是非飲んでみてください。
辛口がお好きな方は元祖「淡麗辛口」の新潟県の日本酒もチェックしてみてください。
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