あなたは日本酒の種類に注目したことはありますか?
もちろん日本酒の味や風味の細かい違いまではラベルを見ただけではわかりません。
しかし、日本酒の種類について知っていれば、飲まなくてもある程度味や風味などどんな日本酒の傾向なのかわかるようになります。
ラベルを見ただけでどんな日本酒の種類かパッとわかればもうあなたも日本酒通の仲間入り。
今回は唎酒師として日本酒を楽しむための基本的な知識である日本酒の種類や違いについてご紹介します。
- 吟醸や大吟醸は「精米歩合」で変わる
- 純米がつくかは「醸造アルコール」で変わる
- 純米、本醸造に「特別」がつくのは「精米歩合60%以下」だけ
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日本酒の種類は何で変わる?初心者が通になるための3つのポイント
日本酒は名前が似ていて混乱しそうですが、日本酒の種類を分類する大事な3つのポイントを覚えれば日本酒の大まかな種類を簡単に説明することができます。
日本酒は特定名称酒と普通酒にわかれています。
さらに特定名称酒は種類は大きく分けて「大吟醸酒」「純米大吟醸」「吟醸酒」「純米吟醸酒」「本醸造酒」「純米酒」という名前で区別されます。
ではこれらの違いはどこにあるのでしょうか。
- 精米歩合
- 醸造アルコール
- 「特別」と名のつく日本酒
大吟醸や吟醸といった名前は精米歩合で決まる
ラベルを見て大吟醸や吟醸といった表記を見ることがあると思いますが、これらの分類は精米歩合で決まっています。
まず日本酒を造る最初の工程として、日本酒に必要な部分だけ残るようにお米を精米します。
玄米の糠(ぬか)層を削り取る工程
お酒に必要なでんぷん質というのはお米の中心部に多く含まれています。
この中心部のことを心白(しんぱく)といい、日本酒造りに使用する酒造好適米はこの心白が大きいことが特徴の1つです。
心白は日本酒を造るのに使用する麹菌が入り込みやすい隙間の多い構造になっています。
しかし、隙間が多いことから旨みが少なく、食用として食べてもあまり美味しくないそうです。
一方で、心白の周りは一般的に旨味成分が多く、白ご飯を食べた時の心白の周りの部分があるから旨味を感じることができます。
しかしこのお米の旨味は残念なことに、日本酒にとっては雑味になってしまうのです。
そこで日本酒を造るためには、ある程度精米して心白の周りをけずり、雑味部分を少なくしていく必要があります。
この精米の過程で磨かれて残ったお米の割合を「精米歩合」といいます。
精米歩合70%(30%以上磨いたもの)は「本醸造」、精米歩合60%(40%以上磨いたもの)は「吟醸」、精米歩合50%(50%以上磨いたもの)は「大吟醸」と言われます。
「純米」については精米歩合の指定はありません。
- 精米歩合指定なし=純米酒
- 精米歩合70%=本醸造酒、純米酒
- 精米歩合60%=吟醸酒、純米吟醸酒
- 精米歩合50%=大吟醸、純米大吟醸
より磨かれているものには「大」がついていますね。
一般的に多く削られたお米を使った方が余分なものが入っていないので香りが良く、なめらかな舌触りがあると言われています。
「純米」とつくのは醸造アルコールが入っていないから
次の日本酒の種類を分けるポイントは醸造アルコールが入っているかどうかで「純米」とつくかどうかが決まることです。
主原料の大半がサトウキビで、酵母を加えて醸造させて作る純粋な「エチルアルコール」のこと
この醸造アルコールを入れる理由は2つ。
- スッキリした味わいにする
- 香りを引き立たせる
日本酒造りのときには「もろみ」を入れるのですが、このもろみには糖と酸が多く含まれています。
これを醸造アルコールで抑えることで味の滑らかさと本来の味の切れを引き立てる役目があります。
また、香りは水よりアルコールにより溶ける性質をもっているので、醸造アルコールを入れることでより一層華やかな香りを感じられるようになります。
特定名称酒に添加する醸造アルコールはだいたい多くても3%ぐらいとなっています。
一方、醸造アルコールが入っていないものには「純米」という言葉が付きます。
- 醸造アルコールあり=大吟醸、吟醸酒、本醸造酒
- 醸造アルコールなし=純米大吟醸、純米吟醸酒、純米酒
先ほどの精米歩合と醸造アルコールの有無の分類をまとめるとこんな感じです。
これで6種類全ての分類ができました。
日本酒でたまに見かける「特別」って何が特別?
特別純米や特別本醸造という日本酒がありますが、これは精米歩合60%以下の日本酒を表しています。
先ほど精米歩合について説明しましたが、精米歩合が本醸造は70%以下、純米は規定なしという決まりがありましたよね。(忘れた場合はせっかくなので一度戻って復習してみましょう!)
精米歩合60%というのは規定よりも精米がされているということで「特別」と付いてるわけですね。
ここで、「精米歩合60%以下であれば、「吟醸」と同じじゃないの?」と思いましたか?
そこに気づいたあなた、もう日本酒通の仲間入りができましたね。
精米歩合だけで見ると同じになりますが、そこで見なければいけないのが「特別純米」と書かれているのか「吟醸」と書かれているのかというところです。
この2つの違いは香り。
一般的に吟醸酒は吟醸香という少しフルーティーな香りがするものが多いです。
一方、特別純米酒や特別本醸造酒はあくまでも純米酒や本醸造酒なので、通常の純米酒よりは切れや香りはいいけれどもフルーティーさは吟醸よりも少ないという傾向があります。
もちろん使うお米や蔵独自の作り方によっても多少の変化はありますが覚えておきましょう。
日本酒の種類を覚えてラベルで日本酒を選んでみよう
では今までの日本酒の種類を見分ける知識で日本酒を選んでみましょう。
フルーティーな日本酒が飲みたい場合は醸造アルコールの含まれている日本酒を選んでみましょう。
理由は醸造アルコールは香りを引き立てる役割があるからですね。
のどごしや舌触りが軽い日本酒が飲みたい人は精米歩合の低いものを選ぶといいです
理由は精米歩合が低ければ雑味のある部分が削られているのでスッキリしたものが多いからですね。
どうですか?
日本酒の種類を知っているだけでもこんなに日本酒を選ぶことができるようになります。
と言っても最近では純米吟醸などでもかなりフルーティーな香りのものが多く出てきています。
また、使っている酵母などによって酸味が強かったり酒造好適米の種類で味わいが変わったりなどそれぞれの銘柄で全く違った味わいを持っています。
1つの記載を見ただけでは全てを把握できないのが日本酒の難しいところであり楽しいところですね。
初心者の間は特に日本酒の種類を理解してある程度絞り込んだ上で飲んでみて、そこから酵母や酒米の違いをどんどん飲み比べて知識を広げていってください!
「清酒」と書かれている日本酒は?
日本酒の種類の中でも特定名称酒については説明しました。
最後に、「清酒」と書かれている日本酒はいったい何を指しているのか説明したいと思います。
「清酒」とは日本酒全般を指す言葉で、全部の分類が含まれている言葉です。
ということは漠然としすぎて全然わからないんじゃない?となるかもしれませんが、ここで出てくるのが先ほどの知識です。
先ほどの分類の違いを知っているとそのお酒がどれに属してるのか、どれに近いものなのかが分かります。
では上の写真でどういう日本酒なのか見てみましょう。
瓶の裏や端っこを見てみてください。
そこには原材料名が書かれているはずです。
「米」「麹」この二つは日本酒には欠かせないものなので必ず記載されていいます。
そこに「醸造アルコール」と記載されていれば、大吟醸、醸造酒、本醸造酒のどれかということがわかります。
しかしながら、「清酒」としか書かれていないものは精米歩合まで書かれているものが少なく、それ以上を判断するのは難しいです。
あとは気になる銘柄があったら飲んでみてどんな風味なのか確かめましょう!
色々な銘柄を飲んで酒米の違いや地方の傾向、酒蔵の方向性などたくさんの経験をして自分の好きな傾向を把握していきましょう。
日本酒の種類がわかれば飲むのが楽しくなる
日本酒の種類についていかがでしたでしょうか?
日本酒の種類の見分けるポイントは以下の通りです。
- 吟醸や大吟醸は「精米歩合」で変わる
- 純米がつくかは「醸造アルコール」で変わる
- 純米、本醸造に「特別」がつくのは「精米歩合60%以下」だけ
日本酒の味は「精米歩合」「醸造アルコール」だけでなく、火の入れ具合や使っている酒米や水、その土地の気候によっても大きく変化します。
ですので今回見てきた種類はありつつも、「大吟醸だからこうだ!」と一概に言えません。
そこが日本酒の難しいところであり、楽しいところです。
分類について知らなかった人は、一度ラベルを気にして飲み比べをしてみると味の違いを実感できると思いますし、気に入った日本酒があったときは種類や酒米など覚えておくようにしましょう。
日本酒初心者の方でも少し知識をつけておくだけで楽しむ幅と奥行きが広がります。
基本的な知識を一通りつけて自分に合った日本酒、好みの味わいを見つけましょう!
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- 明日から使える実践的な日本酒の知識がいっぱい
- 数時間あれば一冊読んでしまえるぐらい文章がわかりやすく読みやすい
日本酒を楽しむのに知っておくといい知識は他にもまとめているので、是非知識をつけて色々な顔を見せてくれる日本酒を最大限に楽しんでくださいね!
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